高齢になると、食欲の低下や嚥下機能の衰え、歯の問題などで、食事の量や質が落ちやすくなります。その結果、栄養不足が進み、フレイル(虚弱)やサルコペニア(筋肉減少症)を引き起こすことも少なくありません。

不足しがちな栄養素として、筋肉の維持に不可欠なタンパク質、腸内環境を整える食物繊維、骨を丈夫に保つカルシウムが挙げられます。「意識して摂らなきゃ」と思っても、食事の工夫が必要です。

在宅介護をする家族にとっても、毎日の食事準備は大きな負担になります。栄養バランスを考えつつ、食べやすく調理する必要があり、さらに介護食となると、刻み食やとろみ付けなどの工夫が必要です。忙しい日々の中で、こうした食事を用意することに苦労している方も多いでしょう。

そんな中、近年注目されているのが「大豆ミート」です。植物由来のタンパク質として優れた栄養価を持ち、高齢者の健康維持にも役立つ食材として、介護食への活用が期待されています。

なぜ、大豆ミートが介護食に向いているの?

大豆ミートは、植物性の良質なたんぱく質がたっぷり含まれ、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素がバランスよく含まれています。さらに、咀嚼機能が低下しても、肉や魚より柔らかさを調整しやすく、食べる楽しみも増えます。

同じ大豆食品である豆腐は、なめらかで食べやすいもののタンパク質量はやや少なめ、食物繊維は含まれていません。納豆は発酵食品として栄養が豊富ですが、粘りや匂いが苦手な方も。大豆ミートは調理の幅が広く、工夫次第で飽きずに食べられるのが特長です。

大豆ミートが介護食に向いているポイントをまとめました。

  • タンパク質が豊富:高齢者は筋肉量が減少しやすく、フレイル(虚弱)やサルコペニアのリスクが高まります。大豆ミートは植物性タンパク質を豊富に含み、筋力維持をサポートします。
  • 食物繊維がたっぷり:高齢者は便秘になりやすく、腸内環境の悪化が健康に影響を及ぼします。大豆ミートは食物繊維を含み、腸内環境の改善に役立ちます。
  • 低脂肪・低コレステロール:生活習慣病の予防が求められる高齢者にとっては、心臓病のリスクを減らすために動物性脂肪の摂取過多は避けたいところです。大豆ミートは低脂肪でコレステロールが含まれておらず、健康管理がしやすくなります。
  • ミネラルが豊富:不足しがちなマグネシウムやカルシウムが豊富で、エネルギーや筋肉を作りやすくしてくれます。日本人は全体的に不足ぎみと言われています。
  • 低脂肪・低コレステロール:生活習慣病の予防が求められる高齢者にとっては、心臓病のリスクを減らすために動物性脂肪の摂取過多は避けたいところです。大豆ミートは低脂肪でコレステロールが含まれておらず、健康管理がしやすくなります。
  • 調理しやすい:ひき肉タイプ、ブロックタイプなど様々な形状があり、アレンジ次第で飽きずに食べられます。煮込むと柔らかくなり、高齢者でも食べやすくなります。また、ペースト食も作りやすいです。

大豆ミートで改善した?ある男性のケース

大豆ミート介護食

要介護状態で療養していた男性のエピソードを紹介します。

89歳の男性は突然意識を失い、救急車で病院に搬送。心筋梗塞の診断で緊急手術が施されました。

術後の状態は良好で、リハビリ病院に転移後も、順調にリハビリが進んで、転移時は寝たきりだったのが、少しずつ機能が回復し歩行器を使って歩けるようになり、食事も嚥下食から常食に切り替わった矢先のことです。

誤嚥性肺炎を患い熱が40℃まで上がり、後遺症で認知と身体機能が落ちてしまい、それまで順調だったリハビリは振り出しに戻ってしまったのです。

医師からは、これ以上の回復は見込めないとのことで、結局車イスで退院。帰宅後、わずかな望みを抱き大豆ミートご飯でたんぱく質をしっかり補充し、在宅でリハビリを続けること1か月、なんと足が2、3歩出るように、そして3か月後を過ぎたころには歩行器を使って一人で歩けるようになったんです。

そして、退院から7か月後には、90歳のお祝いにと家族が企画してくれた旅行にも行けるまでになり、もちろん食事は皆と同じものを食べました。

これには主治医もビックリで、あの状態で退院して、ここまで機能が回復する例は少ないとのことでした。そして、看護師さんや理学療法士さんが口を揃えて言ったのが「大豆だね!」

その男性はこれまでも、退院後の予後が毎回良くて、先生からお褒めをいただくのですが、他の家と違うのは、大豆ミートを含めしっかり大豆製品を摂っていたことです。さらに、高齢者の多くは便秘薬を常用していますが、男性は薬に頼ることがほとんありませんでした。

そして、大豆ミートの一番の功績は、食事の準備が大変楽になったことです。介護食は噛みやすさや飲み込みやすさを考慮して調理しなければならず、バランスも考えた食事を毎日3食作り続けるのは、かなりの負担をしいられます。その手間の軽減に大豆ミートが一役買ってくれたのです。

実は、その男性の家族は大豆ミートのスペシャリストだったのです。

大豆ミートスペシャリストの役割

大豆ミートスペシャリスト講座

実は、介護施設でも、大豆ミートを活用したメニューを提供することで、食べやすく食事満足度の向上が報告されています。

「噛むのが大変」「飲み込みにくい」そんな声に対応できるのが、大豆ミート。細かく刻んでスープやおかゆに混ぜたり、ミキサーでペースト状にして飲み込みやすくしたり、とろみをつけて誤嚥のリスクを減らすことも可能です。

実際に、誤嚥性肺炎を経験した高齢者が、大豆ミートのペースト食を取り入れることで食事量が増え、体重が増えて体力が回復したというケースもあります。

しかし、実際には 在宅でも介護現場でも、大豆ミートの活用が十分に進んでいない という課題があります。その理由として、

  • どう調理すればよいかわからない
  • 大豆独特の風味や食感の調整が難しい
  • 介護食としての活用方法が知られていない

といった点が挙げられます。

この問題を解決するために、大豆ミートスペシャリスト が求められています。

  • 介護する家族に、大豆ミートを活用した簡単で栄養バランスのよいレシピを伝授する
  • 介護施設の調理担当者に、大豆ミートを活かしたメニューの提案を行う
  • 在宅介護の負担を軽減しつつ、高齢者の健康を支える食の知識を広める

日本は超高齢社会に突入しており、高齢者の栄養問題はこれからさらに深刻化します。そこで、大豆ミートを使いこなす専門知識を持ち、適切な調理法を広めることができる人材が、社会的に必要になってくるのです。

超高齢社会の食問題に貢献しよう

大豆ミート介護食

大豆ミートの正しい使い方を学び、在宅介護や介護現場での活用を広めることができれば、多くの家庭や施設で役立つスキルとなります。

大豆ミートは高齢者にとって栄養的に良い」と知っていても、実際に活用できなければ意味がありません。だからこそ、正しい知識を学び、高齢者の食の問題解決に貢献できる人材を目指しませんか?

「大豆ミートスペシャリスト資格取得講座」では、大豆ミートの特性や調理技術、介護食への応用方法を実践的に学ぶことができます。

日本の超高齢社会において、高齢者の食問題に向き合い、大豆ミートを活用できる専門家として活躍するチャンスです!